PMOとは?役割や種類、活動アプローチについて知ろう!

エンジニアコラム

近年、ITの開発プロジェクトや企業で、PMOという名称を耳にしたことはありませんか?炎上寸前に突如現れたPMOという存在。一体どういう役割があるのでしょうか?PMとの違いは?どんな職種があるのか?本記事ではそんな疑問にお答えしたいと思います。

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PMOとは

PMOの役割・業務内容

PMOとは「Project Management Office(プロジェクト・マネジメント・オフィス)」の略で、企業や組織の中でプロジェクトマネジメントの業務支援をする部門のことを指します。プロジェクトマネジメント知識体系ガイド「PMBOK」(プロジェクト管理について世界標準となっているガイドのこと)にも以下のとおり記載されています。

管轄する複数のプロジェクトを一元的にマネジメントし調整を行うことに種々の責任を有する組織の一部門あるいはそのグループのこと。

PMOとPMの役割の違い

プロジェクトマネジメントと聞くとPMと同じ役割なのでは?とお思いかもしれませんが、PMとPMOには明確な違いがあります。PMはプロジェクトの責任者を指し、PMOはPMがスムーズに業務できるよう支援する役割を担っています。戦国時代に例えるなら、PMが将軍なら、PMOは軍師という立ち位置でしょうか。

PMOの種類

PMOのあり方は組織の文化や環境、プロジェクトの規模等によって変わるので、一概には言いにくいのですが、ある程度役割や種類を分類分けすることができます。この分類を知っていれば、必要なスキルセットや目指す方向性がわかり、PMOとしてより活躍できるでしょう。本記事では、組織内での「ポジション」と「業務内容」においての種類を記載します。

ポジション別に見るPMOの種類

エンタープライズPMO

エンタープライズPMO(EPMO)とは、コーポレートPMOとも呼ばれ、社内全体のプロジェクトを縦断的にマネジメントし、投資効果の最適化を目的としています。日本では、個々のプロジェクトの成功を目的としたプロジェクト内PMOが多いですが、欧米ではEPMOが主流です。EPMOを設置することで、社内のリソースや問題点を俯瞰してみることができ、より早期問題解決が期待できるので、コスト削減が求められるこれからの時代、EPMOの需要が増えるのではないかと予測します。

第三者評価PMO

第三者評価PMOは、経営層のリスクマネジメントの視点が必要な大規模プロジェクトに設置され、経営層に「プロジェクト状況の可視化」等をし、客観的にプロジェクトを評価することを目的としています。第三者PMOは、プロジェクトを推進する側のプロジェクト内PMOとは異なり、プロジェクトから独立した立場として、客観的に評価する視点や監査に必要な法律やガイドラインの知識も必要です。

部門PMO

部門PMOとは、特定の部門や機能のプロジェクトを支援するために設置されたものです。部門PMOは、その部門のビジネス戦略に基づいて、プロジェクト管理に関する方針や手順を策定し、プロジェクトマネージャーを支援してプロジェクトの成功を実現するためのツールやリソースを提供します。
部門PMOは、その部門のプロジェクトの進捗状況を定期的に監視し、問題が発生した場合には迅速に対応することも重要な役割となります。また、部門PMOは、プロジェクトの予算やリスクなどの管理も担当する場合があります。
部門PMOの設置は、部門内のプロジェクト管理の統一性や効率性を高めることができるため、組織全体のプロジェクトマネジメントの改善にもつながることがあります。

プロジェクト内PMO

プロジェクト内PMOとは、プロジェクトを成功に導くための役割があります。日本でPMOとはほとんどがプロジェクト内PMOです。システム開発を目的としたプロジェクトがほとんどのため、SEからPMOになる人が多いかと思います。SEからPMOにシフトする人が多いのは、管理業務をする際にシステム開発の知見が必要になるからです。

業務内容別に見るPMOの種類

PMOアドミニストレータ

PMOアドミニストレータは、PMO事務と呼ばれることもあり、プロジェクトマネジメントチームを支援し、プロジェクトの進行状況を追跡し、報告書を作成することが求められます。

主な役割
  1. プロジェクトデータ収集・更新
  2. プロジェクト情報共有・展開・リマインド
  3. 会議体のコーディネーション
  4. 書類作成・管理サポート
  5. 経費処理
  6. プロジェクトメンバー勤怠・稼動管理
必要なスキル
  1. プロジェクトマネジメントに関する知識
  2. ビジネス分析
  3. 高度なコミュニケーションスキル
  4. 問題解決能力
  5. チームワーク

PMOエキスパート

PMOエキスパートは、プロジェクト管理のベストプラクティスを確立し、組織全体のプロジェクト管理の品質を高めるために、PMOの方針、手順、プロセスを策定するのに貢献します。

主な役割
  1. プロジェクト管理のベストプラクティスを確立し、PMOのポリシー、手順、プロセスを開発すること。
  2. プロジェクト管理の方針、手順、プロセスを遵守するための監査。
  3. プロジェクトマネジメントのトレーニングと指導を提供すること。
  4. プロジェクトポートフォリオを管理し、リソースの最適化、コスト削減、およびスケジュール管理を実現すること。
  5. プロジェクト管理のツールとテクノロジーを選定し、PMOの技術戦略を開発すること。
  6. プロジェクトのリスク、課題、および変更管理を監視すること。
  7. プロジェクト管理の報告書を作成し、組織の経営陣に報告すること。
必要なスキル
  1. プロジェクト管理の分野における深い専門知識
  2. リーダーシップ
  3. 戦略的思考力
  4. 高度なコミュニケーションスキル
  5. チームマネジメント

PMOマネジャー

PMOマネジャーは、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)の責任者であり、組織全体のプロジェクトポートフォリオを管理したり、プロジェクト管理チームを指導する役割を担います。

主な役割
  1. プロジェクトポートフォリオの管理と監視。
  2. プロジェクト管理のベストプラクティスを開発し、PMOのポリシーやプロセスを改善すること。
  3. プロジェクトマネジメントチームを指導し、プロジェクトの成功を確保すること。
  4. プロジェクト管理の品質を確保し、プロジェクトのリスク、課題、および変更を管理すること。
  5. プロジェクトマネジメントチームのトレーニングや指導を行い、プロジェクト管理スキルの向上を支援すること。
  6. 組織内でプロジェクト管理の改善に取り組むために、プロジェクトスポンサーや関係者と協力すること。
  7. プロジェクト管理の報告書を作成し、組織の経営陣に報告すること。
必要なスキル
  1. プロジェクト管理やプロセス改善に関する豊富な経験や専門知識
  2. 高度なコミュニケーションスキル
  3. リーダーシップ
  4. 問題解決能力
  5. 戦略的思考力

PMOの活動アプローチ

上記ではPMOの役割や種類、職種について説明しましたが、本章では「活動アプローチ」について説明します。活動アプローチとは、PMOがどのように組織に関わっていくか、課題に対してどのようにアプローチしていくかを考えていくために必要な軸です。

支援型(助言型)

支援型は助言型とも呼ばれ、プロジェクトマネージャーに対してアドバイスや指導を提供し、プロジェクトの進捗状況や課題の把握を支援します。この活動アプローチの特徴は、プロジェクトマネージャーから要請が入った場合に適切なアドバイスや指導を行うことです。支援型(助言型)はプロジェクトマネージャーやプロジェクトチームに対してガイダンスやツールを提供する役割を持ちますが、具体的なプロジェクトの決定権や権限はプロジェクトマネージャーにあります。支援型(助言型)はあくまでアドバイザーとしての立場であり、意思決定の権限は限定的です。

コントロール型(管理型)

コントロール型は管理型とも呼ばれ、プロジェクトマネージャーから集めた情報を元に、プロジェクトに問題がある場合は、改善を求め、改善するためのプロセスも管理する活動アプローチです。コントロール型は、支援型(助言型)と同様に、アドバイスや指導を行いますが、アドバイスのみで実行するかどうかはプロジェクトマネージャーの判断任せである支援型(助言型)のやり方に比べ、支援内容を遵守させるやり方をとるのがコントロール型(管理型)の特徴です。

指揮型

指揮型は支援型(助言型)とは異なり、プロジェクトの実行に直接関与し、プロジェクトマネージャーやプロジェクトチームに対して方針や決定を指示します。指揮型はプロジェクトの実行において指導的な役割を果たし、方針や決定を指示する権限を持ちます。プロジェクトの進行状況やリソースの割り当て、問題の解決などにおいて、より直接的な権限を持ちます。

まとめ

いかがでしたか?PMOと一言で言っても、役割や立場によって求められる成果ややり方等が異なります。もちろん、プロジェクトの性質や文化によっても違いがあるため本記事でご紹介した内容は、あくまで基本的な考え方までですが、本記事を読み、少しでもPMOのことを知ってもらい、PMOという存在が敵ではない!ということを理解してもらえたり、実際にPMOとして働かれている方は、遣り甲斐をもって取り組んでもらうきっかけになれたら幸いです。

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